春キャベツとスナップエンドウ

春キャベツとスナップエンドウ。自分でも変わった取り合わせだと思うんですが、今年春の異常低温がもたらした野菜の変調をお伝えしようとすると、この取り合わせになってしまうのです。
一年前の今頃は、春キャベツが食べごろでした。これがそのキャベツです。芯が太いのがちょっと気になりますが、ギッシリと中味がつまっていました。

ところが、いま畑にはキャベツの姿が見えない。それもそのはず。4月中旬にはこんな状態で、キャベツはすっかりトウがたっていたのです。

上の写真でところどころキャベツの株がなくなっていますが、これは収穫したあと。結球したものから収穫したのに、中はスカスカ。そこで止むを得ず春キャベツを片づけてしまったので、いまは畑にないわけです。

長すぎた寒い冬というか、2月19日の−6.8℃をはじめとするこの春の異常低温がキャベツの花芽を、いつもより早く成長させたのではないかと思います。モンシロチョウのいない冬から春のキャベツ栽培は、害虫の被害が少なくて簡単だと高をくくっていたのがこの始末でした。
写真は、ほかの害虫が活動しない冬のさなかにハクサイの芯まで入り込んで穴を開けてしまうヤサイゾウムシの成虫。体長2cmほど。キャベツで初めて見つけました。よくも、この寒い春を乗り越えたものです。

一方でスナップエンドウは、これまでにない成長ぶりです。例年、支柱の一番高いところまで届くことはなかったのに、今年はそれをはるかに超えてしまいました。背丈が伸びるに連れて下から上へ花を咲かすスナップエンドウは、背丈が伸びるほど豊作になります。

畑でちぎって、生のままかじっても甘い。これが無農薬栽培の醍醐味です。

いまスナップエンドウが、どんどん採れています。さっと湯がいて、何もつけずに、あるいはマヨネーズをちょっとつけて食べても甘い。昨年は、あっという間に葉が白くなるうどん粉病が発生して、収穫期間はとても短かったのですが、今年はこれからしばらく収穫が続きそうです。

ということで、こちらは長く寒い春がたくさんの花芽をつくり、いい結果につながったのではと思います。ここに、3月末に支柱をたてたばかりのスナップエンドウの様子がありますが、この頃はいまの状態は想定できませんでした。このように思いがけない結果が出るから、野菜栽培は面白いのかも知れません。それにしても、まったく気の長い話です。


‐きょうの一枚 金環日食
久しぶりに見る金環日食です。天候が悪そうだというので、一回しか使わないNDフィルターの購入をためらっていたら、直前に購入しようとしても品切れ。やむなく宇宙大図鑑という本の付録のメガネを使って写しました。もっとも原始的な方法でしたが、その割にはよく撮れました。

終盤に入ったところでカメラの癖や露出のかけかたがわかってきたのですが、残念…。

足元の木もれ日が無数の三日月模様に変わり、やがて空に星が輝き始める。蝋燭のススをつけたガラスを通して輝く太陽のリングを目にして心をおどらせた…。これは私の天体観測の原体験であり、「金環日食」の文字を見ると反射的に思い浮かべる光景です。記憶をもとにネットで調べたら1958年4月19日、九州の南海上を北東方向へ金環帯が通過し、種子島トカラ列島金環日食が観測されたという記録がありました。となると幼い頃、田舎の小学校の校庭で見たのは金環食でなく部分日食だったのでしょうか。半世紀以上前のことですが、太陽は限りなくリングに見えたと思い込んでおります。
太陽が、太陽系の多くの星を支配する親分、支配者と崇められてきたのは、引力でたくさんの星を引き付け、そして核融合反応で生じる熱と光を放出しているせいです。この光と熱の当たり具合がちょうどいいのが地球。生命が存在し、水に恵まれ、野菜や植物の栽培ができるのもお天道様のおかげです。
2012年は天文現象の当たり年。3月の皆既月食、今回の金環日食、そして6月6日の金星の太陽面通過と目白押し。金星はNDフィルターがないと、うまく撮れないはずです。