ハクサイと生き物たち

いま多くの家庭菜園家の関心は、タマネギとニンニクに集中しており、どちらかというとハクサイの栽培は忘れられているように感じられます。
しかしハクサイの生育には、じつに多くの生き物が関わっており、無農薬で美味しいハクサイづくりをするとなると苦労が多い。その意味では、「たかが白菜だが、されど白菜」ということ。皆さんにもっと関心を持って頂いていいはずです。
写真で見るようにハクサイの外側の葉先が少しだけ黄色くなっているのが気になりますが、いまのところ虫害も少なく順調に育っています。左上の写真でハクサイの上にあるのは、物差しのかわり。直径が約65cmですが、本格的な成長はこれからです。

ハクサイの常連客はモンシロチョウの幼虫、カブラハバチの幼虫、そしてヨトウムシです。にありますが、最近見つけたヨトウムシの仲間のキクキンウワバなどもいます。うっかりすると見間違うくらい、アオムシ(モンシロの幼虫)に似ています。
これらは害虫と呼ばれるグループですが、ヨトウムシをのぞけば被害は小さいし、防虫ネットで成虫が産卵するのを防げば効果がある。それでも幼虫が発生するようだったら割り箸でも使ってきめ細かく虫取りすれば被害は軽減されます。
問題は大敵のヨトウムシ。この虫は土のなかで棲息しているので防虫ネットでも防ぎようがない。薬剤を使うか、そうでなければマルチングをしてお天道様の熱で消毒するくらい。それでも「土」という天然の要塞は堅固で、熱から虫の生活を守る働きをしているのでこれも効果が薄いのです。
ところがここ数年のおつきあいでこの虫の対策を発見したのです。きょうのポイントはそのことです。
ヨトウムシは、夜盗虫という名前のとおり昼間は土の中で過ごし、夜になるとハクサイを食べる大食漢です。大食漢は右上のコマにあるように直径5ミリほどの緑色のうんちをする。そこで、このうんちがあるということは、必ず葉の裏か根もとの土の中に幼虫が潜んでいるという目印です。これをしっかりと探して退治する。じつに簡単ですが、コロンブスの卵みたいな発見?です。
この方法は、それほど虫を嫌いでない家庭菜園家に自信をもってお薦めできますが、虫の嫌いな方も、美味しい無農薬白菜を食べるためということで、頑張って頂きたいものです。大きなうんちが命取りというのは、ヨトウムシにとって皮肉な結果です。
あとハクサイの外葉に多いのがダイコンアブラムシですが、これまで見たことのない小さな幼虫やアリ、それからアブラムシを餌にするテントウムシの成虫や幼虫がいます。アブラムシは果たしてハクサイの生育にどのような影響を与えているのか、いまのところ不明ですが、何らかの影響を与えているはずです。

それからクモはアブラムシを食べるのではないかと以前から感じていたのですが、こんなシーンを見つけました。細長いクモがハクサイに巣をかけていて、口にアブラムシの幼虫をくわえています。これは初めて。写真をクリックして、さらに「オリジナルサイズで見る」でご覧下さい。

よく見かけるクモはこちら。何頭もハクサイの上を歩き回っています。いま名前を調べています。

ということで、こんな風にハクサイが虫に囲まれて育っていると書くと、大好きなハクサイが食べられなくなる方も出てきそうですが。そういう方のために、強調しておくと、それは心配ご無用だということです。
なぜなら、1個のハクサイの外葉の数はかなり多く、それらを取り外して芯の部分だけが出荷されているので、食卓にあがるハクサイはそうしたものばかりのはずだということです。虫が食べるハクサイは旨いのですから。
今月末からNHKでドラマ「坂の上の雲」の放送が始まりますが、白菜の渡来は日露戦争終結の頃とされており、ここにちょっこっと書いてあります。これからの季節、ハクサイはなくてはならない野菜です。


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