常緑?のヤマボウシ

「常緑樹」とは、その名の通り一年中緑の葉をつけている樹木のこと。しかし、その葉はいつまでも枝についているかというとそうではない。定期的に生え替わっている。落葉と新葉の芽生えが連続的に行われているから、常に緑の葉がついているように見えるだけ。
葉っぱの生え替わりの時期は樹種によってほぼ一定している。近くの常緑樹を観察するといいかも。常緑樹には針葉樹と広葉樹がある。常緑の針葉樹の代表はスギやヒノキ、マツなどである。これらの樹木は植林用が中心だが、ご神木として崇められたり神聖な場所に植えられることも。常緑広葉樹には、ツバキやカシの仲間、シイの仲間、タブノキ、ヤマモモなどがある。

木偏に「神」と書く榊(サカキ)は、神棚に飾られたり神事に使われる。


一方、春の芽吹きから夏の緑陰、秋の黄葉や紅葉、落ち葉、冬芽など、広葉樹が見せる四季の変化はとても女性的でやさしい。南九州で生まれ育ったものにとって、初めて目にした関東の野山の春の芽吹きはいつまでも忘れることのできない美しさだった。落葉広葉樹には、サクラ、ケヤキ、ブナ、シデの仲間、モミジの仲間、コブシなどがある。針葉樹にも、カラマツやラクウショウ、イチョウなどのように落葉するものがある。余談だが、カラマツが落葉しなければ北原白秋のカラマツの詩も生まれなかったろう。それにラクウショウは、湿地では気根を出すことで有名。新宿御苑で見ることができる。葉の形が針のような形をしていないイチョウが、針葉樹だと聞いて驚く人がいるかも知れない。

常緑樹、落葉樹、針葉樹、広葉樹と書くと素っ気ないが、個々の樹木は詩歌や絵、工芸の題材としてふるくから親しまれ、日本人の感性を育んできた。


前置きがえらく長くなってしまったが、問題はこのDiaryで10月に紹介した「常緑のヤマボウシ」だ。このヤマボウシは、「寒くなっても落葉はしないが紅葉はする」と前に書いたがこれが不正確だった。「紅葉した葉っぱを中心に秋から翌年の春にかけて落葉し、一部の葉はそのまま残る」が正しいのではないか。これは文章表現の問題だけではない。来年春には事実を確認してみたい。そうした落葉現象と平行して新葉が芽を吹くので、このヤマボウシは一年中裸になることはない。
果たして、これを「常緑」と呼ぶのか。と、こんなことを書くとお叱りをうけるかも知れない。が、しかし、…である。まぁ、「常緑」でもいいんでしょうね?スギだって、秋から冬にかけて赤くなる品種があるし……。

今年は何回も強風が吹き、ハラハラさせられることが多かった。それでも、ずいぶんと大きくなってシンボルツリーらしくなってきた。この勢いで成長を続けると、将来はどうなるのか。別の心配が出てくる。生き物を育てるって、いろいろありますね。特に寿命の長いものは!


ヤマボウシ
http://d.hatena.ne.jp/yoshicom/20070423
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http://d.hatena.ne.jp/yoshicom/20061001