アオキ

アオキは、スギ林や湿気の多い沢沿いなどに群生する低木である。青くてみずみずしい葉、そして鮮やかな赤い実をつけることから、庭園木としても植えられている。日向よりも日陰を、そして酸性土壌を好む。それを承知で今年の春、山取りの苗を畑に植えてみた。予想どおり夏の強い日射しにあたり地上部は枯れたが、根は生きていたようだ。
最近になって、芽を出してきた。場所はアゲハに裸にされ、ようやく新芽を出しているユズの横。どこまで、この環境に順応できるか。来年の春が楽しみだ。

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その後のアオキ
http://d.hatena.ne.jp/yoshicom/20070517
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以下は、アオキにまつわるエピソード。
アオキは雌雄異株。ヨーロッパには、かつて斑入りの雌木(めぎ)しかなかったという。英国でも事情は同じで、雄木(おぎ)がないのでアオキが赤い実をつけることはなかった。そこで英国人でPlant Hunterとして知られるRobert Fortuneは、雄木を入手しようと考えた。彼は、最初のアジア訪問では中国からインドに茶を移入した実績をあげていた。1860年に来日した彼は、1年あまりをかけて日本と中国を旅した。日本では、アオキだけでなく多くの種類の植物を採集して本国に送った。
そして、帰国後ロンドンで「幕末日本探訪記」をとりまとめた。この中では植物だけでなく、日本の自然や風土、庶民の暮らしも紹介している。日本人の特徴について「身分の高下を問わず、花好きなことであった」と述べている。当時の江戸が、外国人の目にどのように映ったかを知る上で興味深い。Fortuneが、いまの日本を見て何と評するか聞いてみたい気がする。


幕末日本探訪記 (講談社学術文庫)

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