霜の花が咲く

思いがけない地域で大雪が降り、気の毒な事故が起きたりしていますが、ここらは穏やか。今年一番の冷え込みとは言え、野菜に霜の花が咲いた程度。まずサニーレタス。9時を過ぎていたので少しとけ始めていました。

これはワサビナ。霜がついてギザギザの葉の縁がきわ立って見える。

立派な霜柱も。地表面の温度が下がり、毛細管現象で地中の水が地表にしみだし、それが凍ったもの。今朝は結構冷えたということです。

ソラマメは予想どおりゲンナリ。気温上昇とともにシャンとなります。植物の体内で凍った水は、ガラスの破片と同じで細胞を傷つけてしまう。だから植物は、水分が凍らないよう、組織内の糖などの密度を高める働きがあるそうです。冬のホウレンソウなどが甘いのはそのせい。野菜もそうした工夫をしていますが、わが家では、コタツとエアコンのお世話になっております。

ここらの寒さはどうだったか。気象庁の過去データを見ると、過去10年で一番の冷え込みは2年前(2012年)の−6.8℃(2月)。このときは、畑のシマトネリコの葉の一部が枯れたほど。今年の冬は暖冬だという予想も聞かれますが、そろそろベランダの植物も寒さ対策が必要です。

まずはベランダで育てた2株のパッションフルーツ(時計草)。初めての栽培で、花は数個咲いたのに結実はたったの1個。しかし南国の植物ながら夏から秋にかけて隆盛を極め、グリーンカーテンの役割をしっかり果たしてくれました。写真は9月15日。

蔓を伸ばし、天井に絡み始めるほどの勢い。このまま放置したらマンションのお隣まで伸びてしまいそうな気配。

ネットで調べると関東での冬越しは微妙。壁に絡んだ状態で越冬することもできそうですが、零下の気温が続くと枯れてしまう恐れもある。わが家では1mほどの長さで剪定して、プランター毎、そっくり簡易温室にいれました。

簡易とはいえ、温室のなかはホカホカ!これはいい!越冬がうまく行けば、来春は成長をはじめ、花を咲かせ実を結ぶはずです。土の管理をどうするか。落ち葉堆肥を表面に敷いてやることにしよう。自然の樹木は、自分の落ち葉を栄養源と土壌改良剤として利用しながら、いわゆる不耕起状態で生育しているわけで、こちらもそのイメージでいいのかなと考える“Scientific farmer”ですが、果たして目論見どおり行くかどうか!

土と言えば、昨日は「世界土壌デー」。ところが、ほとんど知られていない。かくいう自分もきのうの朝知ったばかり。何でも2013年の国際連合総会で、12月5日を「世界土壌デー」と定め、2015年を国際土壌年とする決議文が採択されたそうで…。しかしなぜ昨日なのか。その筋の専門家に伺うと次のような答を頂きました。この日は、土壌管理を精力的に推進しているタイのプミポン国王の誕生日。いまから遡ること12年前の2002年にタイ・バンコクで開催された第17回国際土壌科学会議で定められたということでした。なるほど…、土の管理は農業の基本中の基本。熱帯地域では、とくにそれが大切だし、国王自ら、そうしたことを推進しておられるということです。その国王の誕生日を「世界土壌デー」にするとは、なかなかの戦略かも。
私たち人間は、土や微生物、昆虫、植物などの存在なくして生きて行けない。そんな気持ちで、このブログのタイトルを「土と生き物たち」としました。家庭菜園を始めたのが2000年。このブログのスタートが2006年。数えて今年で足かけ9年を迎えました。畑の栽培記録が基本なので、畑を続ける限り途絶えることはない…などとうそぶきながらも結局は、多くのみなさんの応援に支えられて、ここまで続いてきました。振り返ると、いろいろありましたが…、ありがとうございました。
じつはブログのスタートの直接のきっかけはこのデジカメ。韓国、中国、イギリス、フランス、オランダ、ベルギーと海外旅行にも同行。重いけど写りはいいし、だいぶ活躍してくれたが、いまはピント機能が働かないので、カメラコレクション入り。

ブログ初日の話題はイラガ。ちくっと刺されたのが縁で、この日以来、毎年発生するイラガの観察を続けものの本を調べだいぶ知識も増えました。

「国際土壌年」の来年、偶然ですがこのブログも10年目。土つながりで、何だか嬉しい。土が重要という気持ちは変わらないというより、ますます強くなっています。
国立科学博物館のイベントの呼びかけには、こうありました。「土壌は地球上の生命を育むもとであり、我々の存在に欠かせません。しかし、日ごろ土について考える機会は稀ではないでしょうか。世界土壌デーの制定を記念し土壌の重要性について理解を深めていただくため、次の通りイベントを開催しますので、ぜひご参加ください」。
わが家の家庭菜園のコンセプト。コンセプトとは、ちょっと大げさ。「昆虫の種類と性質を知って一歩先回りの野菜づくりを楽しみたい」ということ。害虫と知恵比べしながら、野菜をつくること。安易に農薬を使うことはしないし、たとえば近くの公園の落ち葉を貰い3年かけてつくった落ち葉たい肥を使ったりしながら有機栽培を心がける。余談ですが、お隣のSさんに新しい野菜や栽培法を教わります。

わが家で栽培していない野菜を頂くのも楽しみ。この前はサトイモ、けさはブロッコリー。家庭菜園の楽しみは、栽培だけでなくそうしたつながりも大事だと最近では感じています。

土を大事にするという点では、連作を避けて病害予防をするなどの取り組みもしています。必要以上に土を傷めない工夫が大切。小さな畑を田の字型の4つに分けて、栽培する野菜の種類を順番に交代させています。こっそり、(*^_^*)のノートを紹介しますが、まるで手芸のノートみたいに見えませんか。

「野菜は人の足音を聞きながら育つ」という諺があります。平日は仕事に通い週末だけの畑通いで、良い野菜をつくれるわけはありません。そうした諦めが先にあって、実際のところ畑の管理は妻の楽しみ。何度も書きますが、亭主の私はそれを拙ブログにつづったり、珍しい昆虫を見つけたら名前を調べたりするという分担。

おかげで、畑を始めたころはアブラナ科の野菜の大敵であるヨトウムシの名前さえ知らなかったのが、いまでは畑に出現する昆虫はたいていわかるようになりました。まさに「塵も積もれば山となる」のたとえです。余禄ですが、たとえば樹木に発生するオオミズアオスズメガ類の大型の芋虫を初めて見たころは、背筋がぞくぞくとしたものですが、いまではすっかりかわいく思うようになりました。野菜の昆虫ではありませんが…。

オオミズアオの成虫は、ヨーロッパでは「アルテミス(月の女神)」と呼ばれているらしい。夜行性の蛾で月明かりの下を飛ぶ優雅な姿にちなんだ命名のようです。驚いたことに成虫の口は退化していて何も食べることはできません。

いまさらのことですが、畑の広さは40坪、実際に野菜を栽培している実面積はその半分ほど。生垣として北側にはセイヨウカナメモチ10本、南側にはイヌマキ10本(現在7本)を植え、東側と西側には、約20種類の樹木を植えてあります。大きいものは樹高5m近くになりました。これらの樹木に突然、オオミズアオの幼虫が大量発生したりして楽しませてくれます。ただしモンクロシャチホコアメリカシロヒトリマイマイガのように樹木に大きな被害をもたらし、しかも周辺に迷惑をかける昆虫は、幼虫時に発見するように努め、見つけたら退治しております。
と、昨日の「土の日」にちなんで、わが家の畑を振り返ってみました。土とは何か、どのようにしてできるのか。土の種類や特性。日本の土壌が直面する問題点等々。この機会に勉強してみることが大事だと感じます。