カマキリの卵と大雪

カマキリは11月頃、灌木やススキの茎に卵を産みつけます。卵というのは便宜的な呼び方であり、専門的には「卵鞘(らんしょう)」とか「卵嚢(らんのう)」と呼ばれます。写真は、昨年秋に撮ったオオカマキリの卵。シマトネリコの枝に産み付けられ春を待っています。

で、こちらはハラビロカマキリの卵。イヌマキの枝の上です。オオカマキリの卵がふっくらとしているのに対して、ハラビロカマキリの卵は「紡錘形」が特徴。

と、ここまでは前置きで、何が言いたいかというと、秋に写真を撮るとき、「今年はいつもの年に比べ卵の位置が高いな」と感じたのです。カマキリの卵の産卵位置が高い年の冬は雪が多いという話を聞くことがあります。もちろん自称“Scientific farmer”としては、どうせ迷信だろうということで、そうした言説はあまり信用しないことにしています。
ところが、年があけて1月は気温が高め。そして2月に入ってこの雪です。関東で45年ぶりの大雪とか(この程度を大雪というと、雪国の方からお叱りを受けそうですが)。しかもそれを2回も経験するなんて。ひょっとしたら、賢いカマキリは、この雪のことを知っていたのではないか、と思いたくなります。鳥の巣の位置が低いと、台風が多いとかいう話も聞きますが、こちらも根拠を聞いたことはないが、動物が持ち合わせている神秘的なセンシング機能なのかも知れません。

畑では毎年、オオカマキリハラビロカマキリ、チョウセンカマキリの3種類がいます。平成8年の秋は、あわせて35個ほどの卵が、畑の樹木に産みつけられていました。どうしたことでしょうか。最近は毎年、せいぜい5、6個。これがチョウセンカマキリの卵。

チョウセンカマキリの成虫は、胸の両足の間にオレンジ色の紋があります。これが結構キュートなんです。

カマキリは視力が弱くて、手(鎌)の届く範囲にある動くものに焦点があうと、飛びついて食べてしまうのだそうです。これはテントウムシを食べるオオカマキリです。運の悪いテントウムシがいたものです。

こちらは、アリを食べるハラビロカマキリ(ひょっとしたらコカマキリかも知れない)。写真をクリックしてオリジナルサイズで見て頂くと、わかりやすいかも知れません。(当時はアリだと思っていましたが、その後ホソヘリカメムシの幼虫がアリにそっくりなことを知りました。このお尻の大きさからすると、そちらかも知れません)

アシナガバチの巣の前に居座って、餌を運んで帰ってきた蜂をたくみにとらえて食べてしまうことだってあります。写真はハラビロカマキリが鎌で蜂を捕えた瞬間です。これもオリジナルサイズで見て頂くともう少し見えるかな。

テントウムシやアリ、アシナガバチは、どちらかといえば、益虫としての働きが多い。もちろん、カマキリも野菜につくアオムシを捕食するので、その場合は益虫と呼びたい。
しかし、テントウムシアシナガバチを食べるカマキリは、はたして害虫なのか。ここらが難しいところであり、人間の基準がうまく適合しない典型だと感じるのですが、いかがでしょうか。


雪が降って寒い朝。ベランダのルッコラはかわいい花を咲かせています。春はどんどん近づいているのですね。