実のなる木

みのりの秋。この季節は毎年フユウガキの実がとれます。しかし今年は徹底した凶作で、熟れた実はわずかに3個とれただけ。この木を植えて3年目の年に初めて8個の実をつけたが、今年はその最低記録を更新してしまいました。花自体が少なかった上にカキノヘタムシの被害で、7月にはほとんどの実が落ちてしまったのです。
この3個だけは、カラスに突かれないうちに収穫しよう!と家族はいうのですが、じつは心配ご無用です。野鳥がこの実をつつくには、ぴったりの位置に足場になる枝が必要だがそれがない。足場なしに、細い枝先になった実をカラスはつつくことはできない!
いつも感じるのですが、野菜づくりや果樹栽培は昆虫や鳥との知恵比べ。といってもカキノヘタムシには、いつも完敗ですが。そのうち、ヘタムシがつかないように袋掛けでもするか。

この柿の木は、実をつけなかったぶんだけ、栄養が木の生長にでもまわったのか、背丈が伸びました。来年はいいことがあるような気がします。
フユウガキ以外は、どうだったのか。畑に育つ約20種類、40本の樹木。生垣のように、ぐるっと畑を取り巻くように植えられた樹木は、冬の北風や夏の暴風雨から野菜を守ってくれる大切な働きをしています。この中にはフユウガキのほかに、ユズやプラム(ソルダムサンタローザの2種)、ウメ、常緑ヤマボウシと食用になる実のなる樹木があります。ところが今年はどれも見事な裏作、いわゆる凶作なのです。これはどういうことでしょうか。示し合わせたようにどの木も凶作になるとは。やはり天候不順のせいか。
不作のウメ。木が1本しかないのでどうしても結実が少ない。それに6月の台風で落下したり、実に穴をあける虫がいたりして、収穫はわずか1キロ。現在、梅酒として熟成中です。

プラム。豊作の年には枝も折れんばかりに実がつくのに、今年は一部の枝にしか実がならなかった。それでも30個ほどは収穫できました。この2種が初夏に実をつける樹木です。

次にユズ。昨年はたくさんの実がなったので、ユズジャムや柚子胡椒をつくった。おかげで食卓がにぎわったが、今年は3個だけ青い実がなっている。この木も実が少ない分、丈が伸びて2mを超えるほどになった。こちらも来年が期待できそうです。

そしてヤマボウシ。6月は、ぐぐっと伸びた苞が花のように白くなり、数は少なくてもジャムひと瓶くらいはできるだろうと期待させたが、7月から8月にかけて、大部分の実が落下してしまった。いわゆる生理落下という現象です。この木の特徴は、来年のための花芽と今年の赤い実が共存すること。いま、来年花を咲かす小さな花芽がたくさんついています。

次はイヌマキの実。一般には食用にはしないが、子供のころ花托の部分を食べた思い出がある。実のなる木のなかで、イヌマキだけはたくさんの実をつけている。なにか理由があるはずです。

それからビックリグミ。この木の不運は毎年、新芽が出て花が咲くころ大発生するアブラムシの被害で新芽が落葉したり、花が落ちてしまうこと。アブラムシが煤病を媒介するのです。今年も10個ほどの実がなりましたが、木の大きさからすれば実の数が少ない。写真は5月のグミ。

春先に2度芽ぶくという非効率なことをする割にどんどん成長して、すでに丈は3m余りになっています。自家不結実性といって、自らの花粉では受粉しにくいというので、DNAの異なる木をもう1本植えたが、こちらもアブラムシの被害で効果なし。

アブラムシについては、最近ようやく種類(名)が絞られてきて、「ゴボウクギケアブラムシ」か、「タデクギケアブラムシ」もしれないと考えている。日本原色アブラムシ図鑑には、前者に関して、「グミは冬寄生主植物で、夏はキク科のアザミ類に移住して寄生し、ときにゴボウに発生する害虫である」とあります。タデクギケアブラムシかもしれないが、アブラムシの判定はご専門の先生でないと難しい。
食べられない木の実のトップはコムラサキムラサキシキブの仲間の園芸種です。たしか岐阜でもらったもの。いつもは紫色の大きな房がなるのですが、今年は小さい。花の時期の天候が不順だったせいではないかと思います。自称Scientific Farmerは「五感で植物を知る」を心がけており、この実の紫色の皮が甘いことは確認ずみ。もちろん甘いといっても、噛んで味を確認したら吐き出しているので食べたことはない。

樹木は凶作ですが、樹木に囲まれたハクサイなどの野菜は、いま順調に育っています。



‐きょうの一枚 ローゼルのゼリー
リンゴとローゼルからジャムをつくりました。初めてにしては、上出来の味です。レシピは、ローゼルの種をいただいたmiyotyaさんのもの。ここをクリックしてみてください。