生命を支えるかたぶつな元素・窒素

窒素、リン酸、カリは肥料の三要素。家庭菜園家にとっては、とても大切なものです。なかでも窒素は炭素、水素、酸素とともに動植物の組織を構成しています。最近、世間はセシウムだ、ヨウ素だと騒がしい。そこで窒素について少し勉強してみるとこれが結構面白い。オニナベナのいがぐり頭とどちらが面白いだろうか?

↓1日1クリック、よろしくお願いします。
にほんブログ村 花ブログ 果樹・野菜(家庭菜園)へ
にほんブログ村

1772年に窒素を発見した英国の化学者ダニエル・ラザフォードは実験結果をもとに窒素ガスの中で「ものは燃焼しないし生き物は呼吸できない」と発表した。そのため窒素はギリシャ語で「生命をささえないもの」という意味の「アゾト」という名前がつけられ、仏語やロシア語でもそう呼ばれ、ドイツに至っては、「窒息させる物質」という意味のStickstoffという名前がつけられた。
窒息しそうな蓑のなかで一生を過ごすこの方には、あまり関係ないことかも知れないが…。

日本語の「窒素」はこのドイツ語を語源としている。動植物の生命を支える元素なのに、これほど悪い名前のついたものはほかにないといわれるくらい。まぁ、ヨトウムシなんて、ひどい名前をつけられた昆虫もいますから…。
虫が嫌いでない方は、ここをクリックしてみて下さい。

かたぶつは堅物と書き、「きまじめで、融通の利かない人」という意味。窒素のどこが、かたぶつかというと、窒素分子が2個の窒素原子に分かれにくく、したがって他の元素と化合しにくいということです。
しかし、化学的に不活発なことは悪いことばかりではありません。かたぶつな人間が、頑固さゆえにまわりから信頼されるのと似ている。たとえば電球にはフィラメントが長持ちするよう窒素ガスが封入されており、おおがかりなところでは原子炉の爆発を抑制するため格納容器にも注入されるし、さらに食品関係では果物を遠くへ運ぶ場合などは容器に窒素ガスが封入されるわけです。
ということで、空気中には体積比率で窒素N2が78.1%も含まれているのに化合しにくいという性質を備えているため、これを利用できる植物は少なくマメ科植物や一部の松、ヤシャブシなどの植物の根と共生して働く根粒菌、または共生をせず単独で働くアゾトバクターや水田の土中に多いクロストリディウムなどの微生物だけ。これらは窒素固定菌と呼ばれています。稲は独自の窒素固定菌をもっていて水の中でも旺盛に生育できるのだそうです。

化合しにくい物質を化合させるには相当のエネルギーが必要であり、たとえば雷の稲光は窒素化合物をつくるといわれています。窒素固定菌のどこにそんなエネルギーがあるのか。謎は深まります。
≪続く≫


大切なインゲンに口吻をさして汁を吸うホソヘリカメムシの成虫。29日末尾のアリに似た昆虫はその2齢幼虫でした。この畑では、あまり見ない顔!