続続・寒くなるとなぜ紅葉・黄葉や落葉が起きるか

昨日の続きですが、なぜ落葉前の短い期間にアントシアニン系の色素が作られるのか。これには、次のような仮説が提唱されているというのです。

秋になり気温が下がると落葉植物の葉の働きが低下してきます。樹木は葉に含まれる養分のうち利用可能なものの回収を始めます。光をエネルギー源として水と二酸化炭素からブドウ糖と酸素をつくる働きをする葉緑体も分解されます。葉緑体の中には、クロロフィルが組み込まれていますが、これもその構造から出てきます。クロロフィルは外に出ても、光が当たるとエネルギーを吸収し周辺の酸素に作用して毒性の強い活性酸素を作り出します。この活性酸素は葉の細胞の構造を破壊し栄養分の回収作業の能率を大幅に低下させるというのです。
そこで、樹木はクロロフィルの暴走を抑制しようとするわけです。光の中で光合成に最も効果があるのは三原色の中の青い光。クロロフィルの暴走を抑制するには青い光がクロロフィルに当たるのを防げばいいわけです。そこで、葉緑体の構造が分解されるのと前後して、葉はアントシアニン系の色素をつくります。これがカーテンの働きをしてクロロフィルに青い光が当たるのをさけることができます。アントシアニン系の色素が青い光を吸収するので、葉は紅葉して見えるというわけです。

話の大筋はこうですが、わかりやすくするためにかなり端折りました。正確さを欠くかも知れません。が、この説明でなぜ落葉の前に紅葉するか、ということはお分かりいただけたと思います。しかし、黄葉する樹木の葉の場合はどうなのか。これは、まだ不勉強のため不明です。こうした問題は、とても奥が深くてひとつわかると、また新しい疑問点が出てきます。
一番の疑問は、落葉しないヤマボウシの場合はどうなのか。落葉しない葉がなぜ紅葉するのか。
これまた、私にはわかりません。どなたか、…。
(参考文献)
ピーター・トーマス著、熊崎実他訳「樹木学」築地書館(2001)