続・寒くなるとなぜ紅葉・黄葉や落葉が起きるか


昨日の続きですが、きょうは樹木の葉はどんな仕組みで黄葉や紅葉をするのかということです。ムクゲの葉には黄色の色素が含まれていますが、いつもは葉緑素クロロフィルの緑色に隠れています。このため黄色が目立たないのですが、気温が低くなるとムクゲは落葉の準備を始めクロロフィルの分解が始まります。カロチノイドの分解はゆっくりと進むのに対して、クロロフィルの分解は早いのです。緑色が消えると、それまで隠れていた黄色が現れてムクゲの葉は黄葉するというわけです。

これに対してカエデやサクラの紅葉のメカニズムはどうか。どうも黄葉とは少し事情が違うようです。
紅葉する葉にもカロチノイドは含まれています。気温が下がるとクロロフィルの分解が進む点は、黄葉の仕組みと同じです。一方で紅葉する樹木の葉では赤いアントシアニン系の色素が大量に作られます。
これがカロチノイドの色と混ざって鮮やかな赤色や橙色になります。上の写真は近くのサクラの紅葉です。今年はとてもきれいでした。
でも、なぜ落葉前の短い期間にアントシアニン系の色素が作られるのでしょうか。これは長い間謎とされていたようですが、最近になって新説が提唱されているということです。仮説ということですから、まだ完璧の説明ではないのかも知れませんが、その紹介は明日にします。
(参考文献)
ピーター・トーマス著、熊崎実他訳「樹木学」築地書館(2001)