子規ゆかりの柿の古木
奈良に行く機会があったので、「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」の句で知られる正岡子規ゆかりの柿の木を訪ねました。子規は最後の旅で奈良に立ち寄り東大寺が見える老舗旅館「対山楼」に逗留したそうです。いまその宿はありませんが、柿の古木とともに庭が残されています。
中央に見える甍が東大寺で、左手に柿の枝がのぞき、手前の柵の中にはススキや萩、オミナエシなどが植えられていました。いまはほとんどの植物が枯れていますが、春には新しい芽が出るのでその季節に見るといいのかも知れません。
子規が奈良旅行のことを書いた随筆「くだもの」に、対山楼で柿を食べながら東大寺の鐘の音を聞いた様子が書かれているそうです。上の写真の正面に子規の「秋暮るゝ奈良の旅籠や柿の味」の碑がみえています。関係者によって「子規の庭」として保存・整備の努力が続けられています。
トヨカ柿という名前のこの柿は、樹齢100数十年といわれる古木です。よく見ると支柱から何本ものロープが柿の枝に結わえられていますが、枝折れを防ぐためにつけられたものです。この柿は初めは渋いそうですが、熟すと次第に渋がぬけて甘みくなるのだそうです。
ここで不思議なのは、東大寺の鐘のはずが「法隆寺」とされている点です。なぜ東大寺が法隆寺になったのか、ホントのところは子規にしかわからないわけですが、法隆寺の方が音が柔らかくて、この句の味わいを高めているように感じます。
庭の一角には池がつくられカワニナが棲み、季節になると蛍が舞うのが見られるそうです。現地をご案内頂いた子規の子孫の方のお話によると、「になの道」という季語があるのだそうです。
- きょうの一枚 興福寺の庭から眺めた夕日
興福寺の三重塔越しに沈む夕日が西の空を染め、桜の木がシルエットになって浮かびあがっていました。有名な五重塔は写真の後方にあります。
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