ソラマメと蕗の薹

「日本は一日のうちでも、何度かめまぐるしく気温が変わる」。これは幕末の頃、来日した、ある外国人の言葉です。日本の家屋のつくりは粗末で、この変化に対して不親切にできている、という意味を含んでいるようです。余談ですがわが薩摩では家のつくりが夏の多湿に耐えるように開放系でできているので、冬田舎に帰ると隙間風がつらかった思い出があります。
わが家の畑のソラマメは、この外国人の言葉をどう受け止めるか。賛意と同時に、育ちすぎて寒さに弱いのではないか、とソラマメの耐寒力を信用できずにネットをかけた菜園家に静かな抗議をしているようにも見えます。ソラマメの原産地ははっきりしないが、北アフリカとも、カスピ海沿岸ともいわれており、もっと気温変化の激しいところであることは確か。
この季節は毎日、朝は摂氏2,3度、日中は摂氏10度前後と変化しますが、ソラマメはその温度変化に対して、かの外国人のように風邪をひいたりしないから偉い。早朝の様子はここにありますが、この程度の霜でも、日中は何事もなかったかのような顔をしています。

たぶん、以前にも書きましたが、車のワイパー液と同様、細胞の中の体液の濃度が不凍液のように濃くなっているんでしょう。それにしても時には強い霜で凍ることがあるのではないか。そうした場合に備えて細胞壁の構造と水分子の位置関係に工夫がされていて、仮に水が凍っても細胞壁が壊れたりしないように設計されているのではないか、などと妄想しているScientific Farmerです。
こちらは「寒さ対策のビニールなぞは不要。それは野鳥対策でしょう」と言わんばかりのホウレンソウです。ルッコラもそうですが、この季節の野菜は頑固モノが多い。

  • お久しぶりの一枚  蕗の薹

日本の原産野菜群の中で一定の勢力を確保している蕗が、新春の日射しの刺激を受けて蕗の薹を出し始めました。見ただけで、すでに脳の中には天麩羅の香りが…。
フキは地下茎で増えるので花なぞ咲かす必要はないと思うが、春になれば花茎、つまり蕗の薹を出す。花を咲かせて遺伝子の組み合わせの多様化をはかることで、様々な変化に耐えて生き延びる。そんな知恵の産物かも知れません。


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