菜園家の林業見学

先月29日は、埼玉・飯能市に行ってきました。ここは江戸時代から木材の供給地として知られてきたところ。江戸の西の地域から入間川から荒川を経由して筏流しなどで運ばれる木材は西川材と呼ばれ、現地で営まれる林業は西川林業と呼ばれてきました。西川という地名があるのかと考えていたのですが、そうではありませんでした。
西川材の特徴は、大消費地の江戸に近いという地の利を生かして、枝打ちや間伐をきっちりして生産された品質の高いヒノキやスギ材です。

手入れの行き届いた山林を見ながら、代々続く山林家の方から山づくりのご苦労談を伺いました。最近、地球温暖化ガスである二酸化炭素を吸収する森林の働きや、環境にやさしい木材は社会の注目を浴びています。しかし、国内で生産される木材の価格は生産費に見合わないそうです。その結果、森林の伐採や植林が行われず、森林が高齢化しているということでした。

二酸化炭素を吸収する森林の働きを最大限に生かすには、高齢化した森林を伐採して生産された木材を住宅建設などに利用し、そのあとに植林をするといったことを繰り返すのが一番です。森林が成長する際、吸収した二酸化炭素は木材の形で貯蔵されることになるし、植林された若木は再び二酸化炭素を吸収しながら成長するというわけです。
林業の採算が悪いことから働く若者は減少し森林が手入れされない状況が全国に広がっています。国土の7割を占める森林の荒廃は国土の保全や環境の保全にさまざまな悪影響を与えます。農業、林業などの一次産業をどう立て直すか、大変重要な課題ですが、ことはそう簡単ではありません。まずは、そうした危機的な状況を一般の方々にご理解頂くことが問題解決のための糸口かも知れません。

世論調査をみても家を建てるなら木造住宅がいいと考える人はかなり多く、自分自身も木材をたっぷり使った家に住んでみたいと思うのですが、現実はなかなかそうは行きません。構法以前の問題として、東京周辺では戸建て住宅となると高額の土地代がかかります。ただ、一戸の住宅に使用する木材の価格は、他の資材と比較してもそれほど高いわけではありません。国産の木材だと値段が高いというのは誤解のようです。だから、住宅の建設などに国産の木材を積極的に使っていただくことも必要だし、そうしたPRが大事です。
野菜づくりは失敗しても次の年にやり直しがききますが、山づくりは時間がかかる。上の二枚の写真は、先代の植えた林だそうです。50年後、100年後のことを考えてすすめなければなりません。今回の見学会は、いい勉強になりました。

  • きょうの一枚  クヌギの落ち葉

飯能市内を流れる入間川。どこへ出かけても、落ち葉が気になる菜園家です。かつてこの川を使って木材を運んでいたそうです。小さな支流では、川をせき止めて水を溜め木材とともに一気に下流に流す「鉄砲」と呼ばれる方法がとられました。川幅が広くなったところで筏を組み、お江戸まで運んだわけです。

 


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