アブラムシの不思議な世界

   
たいていの生き物には科学で解明されていない、いろいろの「謎」があります。畑で見ることのできる昆虫の中で、特に謎が多いなと感じる昆虫の代表はアブラムシ。日本にいるアブラムシの種類は約2400種といわれており、そのうち図鑑に載っているだけでも800種。とにかく植物の種類ほどアブラムシがいるといってもいいくらいです。
アリと共生するアブラムシがいます。アリと共生するアブラムシはお尻から分泌する甘露をアリに与えるかわりにアリをアッシー代わりにする、アリをテントウムシやクモから身を守るための警護役に使う、などは朝飯前。
最初の謎はその色と形。たとえば上の写真はビックリグミのアブラムシの拡大写真。単性生殖で同じ雌から生まれた子供のはずなのに緑色、オレンジ色、羽つきの黒色と3種類もいます。これはテントウムシがオレンジ色を好んで食べ、寄生蜂は緑色を好むといった具合に寄主によって好みの色が違うことと関係があるらしいのですが、しかしどの色であってもどうせテントウムシか蜂に食べられることを考えると、ホントにそれだけの理由なのか、ほかにも特別の意味があるのではないかと疑ってしまいます。
羽つきの個体のことは下の*1をクリックしてみて下さい。

それから二つ目の謎は数の多さ。短い時間で急激に増加して一斉に植物の汁を吸い、寄主となる植物を弱らせてしまうだけでなく、ウイルス性の病気を伝染させて餌となる植物を殺してしまう、という愚行を繰り返すこと。自分の子孫を残すためだけなら、そこまでしなくてもいいのに、と考えるのですがいかがでしょうか。上はハクサイのアブラムシ。
まだまだ、たくさんの不思議がありますが、最後は兵隊アブラムシのこと。コロニーが大きくなると、兵隊役のアブラムシが出現するというのです。兵隊アブラムシは、体内に毒性物質を持ち、自分の体の10倍ほどもある天敵のカゲロウやガの幼虫を殺してしまうこともあるようです。雌だけで次々と子供を産むことが多いのですが、どんな仕組みで兵隊役を産み分けるのでしょうか。まったく不思議の多いアブラムシでした。