芙蓉と大和撫子

月初めに強い雨が降っただけで、その後おだやかな天気が続いています。天気がいいと通勤は楽だが、畑が気がかり。
朝早く畑にいってみると、春にベランダの鉢植えから移植したスイフヨウが咲いていました。ほお紅のようなピンクの色と花ビラの表情はなんともいえない。あらためて観察すると、とても古風で色っぽい、そしてしとやかです。

しとやかな女性を表す言葉に「大和撫子のような」という喩えがあります。「大和撫子」という言葉は、ナデシコの清楚な姿から生まれたもの。しとやかな「芙蓉」を「大和撫子のように」というわけには行きません。一方で、美しくしとやかな顔立ちを「芙蓉の顔」というらしい。となると、「大和撫子」と「芙蓉」とでは、どちらが美しいのか? こうしてみると日本語は表現が豊かです。
スイフヨウという名前も物語性に富んでいます。咲き始めのころの花の色は白だが、時間とともに酒に酔(よ)うがごとくピンクに染まる。その変化にちなんで酔(すい)芙蓉(ふよう)と名づけられたというのです。なんとも粋(いき)な名前をいただいたものです。白と紅が半々の花は、赤くなる途中なんです。
乾燥が続いていますが、それにも負けずきれいな花を咲かせるスイフヨウの花は、見るものを元気にしてくれます。

(花びらと左下の葉の上はフタトガリコヤガの幼虫。この虫はスイフヨウが大好き)

モミジアオイムクゲ
http://d.hatena.ne.jp/yoshicom/20060921
ヒガンバナ
http://d.hatena.ne.jp/yoshicom/20060923