白菊の花

冷たい雨が降る中で白い菊が咲いていました。菊は500年前に中国から渡来してきたといわれる。松尾芭蕉(1644~1704)は、菊を題材にした句をたくさんつくっています。その中に次のような句があります。
秋を経て蝶もなめるや菊の露”
菊の露を飲むと、長生きするという中国の故事にちなんだもののようです。そういえば菊水という名の地酒がありますが、これもそうした故事にならって名をつけたのかも知れません。
江戸の出来事を記録した書物(武江年表)に、初めて菊が登場するのが文化九年(1812年)。この書物はごく最近ある研究者の方に教えていただいたのですが、江戸の事件や出来事、風俗異聞等を庶民の目で記録したもの。時代小説を書く際参考にする方が多いんだそうです。
この書には「巣鴨染井の植木屋にて、菊の花を以って人物鳥獣何くれとなく色々の形を造りて諸人に見する」とあります。当時の染井と言えば、植木・園芸の材料と技術が集中していました。
さらに「年ごとに盛になり、およそ五十余カ所に及ぶ」と続きますから、このころから菊を使った見せ物が江戸では盛んになったもののようです。
いまでは秋を代表する花として、私たちの心のなかにしっかりと定着した菊です。岐阜白川郷帰雲城にまつわる名笛「白菊」と飛騨高山の居酒屋の思い出など書きたいことがあるのですが、あまり長くなってもいけませんのでこれで終わりにします。きょうのところはここまで…。