ソラマメ栽培は「あと一歩」まで来ました

太陽、二酸化炭素、水、そして土、小動物…。これらに依存しながら野菜や植物は成長します。もちろん、いいことばかりではありません。害も受けますが、大切な点は、野菜や植物が光合成を通じて、有機物を生産してくれるおかげで、人間を含む動物は、それらを食べながら、成長し家族や仲間を増やし自分たちの世界を築くことができるということです。肉だって、魚肉だって、もとをただせば植物がつくりだす有機物が食物連鎖を通じてそうした動物たちの餌になっているわけです。
さて、畑の近況はどうかというと、連休前に植えたキュウリやナス、シシトウがちょぼちょぼと採れ始めました。

キュウリの成長を喜んでいるのは人間だけではありません。害虫、とくにウリハムシは喜んでいます。昆虫の被害から身を守るため、キュウリは毒成分を分泌しますが、それを避けるためウリハムシは丸く輪を描くようにかじるんだという説があります。植物も昆虫も身を守るため、技(わざ)のかけあいをしているようなものです。

今年はソラマメが大豊作でした。ソラマメの無農薬栽培を成功させるには、ウイルス性の病気を媒介するアブラムシ対策が肝心です。それが田舎の友人の助言でほとんど被害を受けなかったのです。どういう助言か。アブラムシはソラマメの頂芽やヒコバエなどの軟らかい組織上で繁殖します。繁殖源を早めに掻きとるだけ。もちろん繁殖を抑制するため、ソラマメが小さいうちは、アブラムシが寄り付けないように防虫ネットをかけました。しかしソラマメの頭がネットに当たるようになるとネットをはずさざるを得ません。この頃から、頂芽とヒコバエの摘み取り作戦に切り替えます。
これが摘み取った頂芽。

頂芽以上に大切なのはヒコバエです。アブラムシはここで増殖していますが、アブラムシの繁殖力がいくら高くても、集中的にこれをつみとるとアブラムシもたまったものではありません。昨年までは頂芽は摘み取りながらも、ソラマメの根元付近にある繁殖源対策が手薄でした。アブラムシ対策は、10年近く試行錯誤を重ねましたが、これで一気に解決できたような気がします。これがヒコバエ。

20株から5キロ弱のソラマメ(莢なしで)を収穫。そんなにたくさんのソラマメをどうするんだ、と言われそうですが、冷凍庫で保存しますので大丈夫。

とれたて、ゆでたてのソラマメの旨さは格別です。

しかし、来年に課題が残りました。それはこの写真です。

要するに、一株に4本から5本の枝が立ち上がり、一節に2,3本の莢がなっているのです。結果として、3粒の莢が3割ほどで、2粒が5割ほど、1粒が2割ほどといった具合でした。5月に帰省した際、友人から2本立ちにして、一節に一莢にすると3粒の莢が倍ほどに増えるだろう、という助言を貰いました。
これが、2本立ちという意味がわかりやすいように、残りの枝を切り取った写真ですが、手前が東側になるように畝を南北方向につくり植えていけば良いというのです。

こちらが友人のソラマメ。3粒の莢の比率が高く、しかも粒が大きい。鹿児島でソラマメの産地づくりに大きな成果をあげた専門家だけに実践のなかから生まれた助言はわかりやすいです。

そんなことで、採れたてのソラマメを味わいながら、来年こそ立派なものをつくるぞと決意したところです。南北に2本仕立てで育てることのメリットは、もっとたくさんありますが、それは来シーズンの栽培記録のなかで明らかにしたいと思います。ただ、天候その他、冒頭に書いたような環境要因が、結果として悪さをしますので、そこらの注意が大切です。11月に植えて収穫が5月末。畑の作物で一番時間と手間がかかります。甘いかも知れないが、今年のソラマメ栽培は「あと一歩」というところまできました。
チャドクガが発生。
蝶や蛾が好きで、たいていのものを大切にする自称“Scientific farmer”ですが、これだけはいただけません。うっかり触るものなら、肌がかぶれて酷い目にあいます。ということで枝ごと切り取り、土中に埋めました。

ーオリーブが開花
植栽して5年目のオリーブ2本が2m程度の背丈になったので、そろそろと期待していたら花芽をつけ開花しました。ハナバチが吸蜜にきていますので結実を期待したいものです。


ー絶不調の柚子とアゲハの幼虫
昨シーズンは500個あまりの実をつけた柚子が今年は絶不調。懸命に数えても、せいぜい10数個の花しか咲いていません。いわゆる凶作です。「今年は休みです」と言わんばかりに、軟らかい新枝が風にそよそよと揺れていますが、よく見るとナミアゲハの幼虫がおいしそうに葉を食べています。そうした姿を見ると、今年はそれで仕方がないかなという気分です。


ー見事に期待を裏切られたニンニク
絶不調といえば、このニンニクです。前月の終わり頃は順調に成長していて収穫を期待していたのですが、3週間ほど前から黄ばんできて、最近はすっかり枯れ状態になりました。いわゆるサビ病のようですが、ここまで来れば打つ手なしで、きょうはとうとう掘り取ってしまいました。

種は、青森産のホワイトニンニクで大玉のものが採れるはずでしたが、生育途中で株が枯れてしまったので、成長がストップしてしまいました。残念!

今週は、このほかに大豊作だったスナップエンドウが終わったので片付けして、赤玉ねぎを収穫。エダマメやオクラ、インゲンマメの苗を移植したりして5月も終わり。いよいよ6月を迎えます。エダマメの第1陣は花が咲き始めたので防虫ネットが必要になりました。

おそらく、カメムシやハイイロマダラメイガがどこかで、エダマメを狙っているかもしれません。生き物の世界は油断大敵です。